2020.1.27

TPOに合わせてお花を楽しむ@gigi fleuriste 辻由美子さん

こどもの王国保育園の保育士である原田智広(ともくん)が、園周辺の地域に暮らす方々にインタビューを行っていく「こどもの王国 Local Stories」。

今回インタビューに伺ったのは、東日本橋一丁目に位置するお花屋さん、gigi fleuristeの辻由美子さんです。

園に飾るお花を買いに、子どもたちと日頃からお世話になっているお花屋さんですが、お店の前を通ると、まるで、何かの撮影スタジオかと見間違えるほど、大きな窓から美しくディスプレイされた色鮮やかなお花を見ることが出来ます。

もともとは、ファッション業界に身を置いていた辻さん(以下、敬称略)ですが、なぜ花屋に転身したのか?そして、店内の空間をあれだけ美しく彩ることのできるセンスの秘密や、そこに対する想いを伺いました。

ファッションとお花の共通点

原田:本日はよろしくお願い致します。まず、気になったのですが、お店の名前はなぜgigiなのですか

辻:フランスの女の子の名前をつけたかったんですよ。それで調べていたらgigiが出てきて、覚えやすいし、黒猫のジジを連想させるのでgigiにしました。

原田:フランスというところには何かこだわりがあるのですか?

辻:私が修行したのがパリスタイルのお花だったんです。

原田:お花にもスタイルがあるのですね。知りませんでした…。

辻:そうなんです。パリスタイル、ニューヨークスタイルとか色々ありますね。

ニューヨークスタイルだと、カラーとバラだけとか、作られた美しさを表現していて、パリスタイルはより自然に、ナチュラルに、という感じで、グリーンが多めで葉っぱをたくさん使います。

原田:InstagramやHPなどを拝見したのですが、元々ファッション業界にいらしたようですね。そこからなぜ花屋に転身しようと思ったのですか?

辻:30代半ばでお花を始めたのですが、どちらも根底が一緒だったんです。色使い、素材、質感、合わせ方が洋服と一緒なんですよ。習ったところの先生に、「お花の雑誌は見なくて良いからファッション雑誌を見なさい。」とも言われました。なので、共通するところがあって、違和感はなく、むしろ続きのような感覚ですね。洋服のディスプレイを考えているのとお花を組むのはとても似ていて、私はそれでアドレナリンが出るんです。

原田:なるほど。小さい時からそういう感覚ってありましたか?何かに集中してアドレナリンが出るみたいな感覚。

辻:ありましたね。絵を描いたり、工作をしたりは好きでした。

お花をTPOに合わせる文化へ

原田:HPにあった「TPOでファッションをコーディネートする感覚でお花を楽しみたい」は、そういったお花と洋服で共通するものがあったからなんですね。この言葉について、詳しく辻さんの想いを知りたいです。

辻:そうですね。例えば、ディナーとランチではまた着るものが違うじゃないですか。ファッション業界の人達の結婚式って、クラッチバッグ持ったりとか、サテンの靴を履いたりとか、みんなそこまで気を遣っていくんですよ。もちろん、それを楽しんでいるんですけどね。そこはお花も全く同じで、お見舞いの花と誕生日の花は違うから、時と場合と場所とあげる人をお花を作る時に意識はしています。

原田:お店では「こういう人にあげたいんです。」という話を聴きながらお花を作るんですか?

辻:オーダーの時は、細かくお花をあげたい相手の年齢とかまで聞いちゃいますね。

原田:そこからイメージを膨らませていくんですね。

辻:前もってご予約を頂いた方が仕入れの時から花材を揃えられるので、そうしてもらったほうがいいんですけど、日本だとまだまだ「花屋ってすぐ行って5分で作れるんでしょ。」というイメージがあるみたいですね。

原田:どちらかというと、そうやってこだわって花を作る文化になっていって欲しいんですね。

辻:そうです。もっと花の地位が上がって欲しいですね。

原田:日本だと先ほど言ったような「5分で作れるんでしょ?」と言ったような人が多い中で、お客さんはどのような方が多いですか?

辻:拘りたい人や珍しいものが欲しいという人が多いですね。あと、ありがたいことに、皆さんオーダーも「この雰囲気で!」と、イメージだけを伝えて任せて頂くことが多いですね。

原田:じゃあ、そういう風にこだわりたい人も確実にいるんですね。それこそ服と同じような気がしますね。ファストファッションでパパッと服を決めちゃう人と、本当にこだわって服を決める人と。

辻:そうですね。本当にそう思います。

子どもたちとお花との関わり

辻:子ども達にワークショップをしたこともあります。3歳から小学生くらいの子ども達にワークショップをしたんですけど、やっぱりあんまり「ああしなさい。こうしなさい。」って言わない方がいいんだなって思いましたね。笑

「これにお花達を好きに活けてね。」って言った方がやりますね。「次これ、次これ。」ってやってると、それに飽きちゃいますね。

原田:たしかに。作業みたいになっちゃいますよね。

辻:そうなんです。

原田:本当におっしゃる通りで、西池袋の園でも、近所のお花屋さんにワークショップをして頂いたことがあるんですが、その方も同じような考えを持って下さっていて、自由にやっていると本当に楽しんでやりますね。感触とか香りの違いをじっくり味わっているようでした。

辻:茎を切ったら、茎を切ることに夢中になりだした子がいて、別の方向に展開させていましたね。笑 それはそれでいいのかなって。笑

原田:僕なんかは恥ずかしながらお花に疎いので、子ども達の花との触れ合い方を見ていると、僕よりも断然多角的に花を楽しんでいるなと感じます。そう思うと、大人の思い描く作品だけをゴールにしてしまうと、その子ども達の豊かな触れ合いが窮屈になってしまう気がしますね。

原田:今後、お店としてこうしていきたいというようなビジョンはありますか?

辻:そうですね、最近思うのは、いいお花と普通のお花、買い付けの時に悩むんです。良いお花は当然高いです。でも、「みんな分からないから普通のお花でいいや。」という買い付けはやめようと思ったんです。頑張って良いお花にして、ちょっとでもみんなに伝わればいいなと思っています。

原田:なるほど。こだわりが感じられますね。

辻:お店を持つのは初めてなので、オープンしてから幅広いお客様に受け入れられたいと思っていると、やっぱり無難な、そこそこのお花がここに並んでしまったんですよね。

オープン当時は、「今までない花を見せたい。」と思っていたのに、ちょっと数ヶ月したら、私らしくない花が並んでしまったんですよね。周り人からもそれを言われて、「あ、これじゃダメだ。」と思って、やっぱり自分のこだわっているところは持ち続けなければいけないと思いましたね。それが少しづつ周りに伝わっていって、お客さんのお花を見る目が高まっていけばいいなと思っています。

原田:なんだか話を聞いて、今の保育業界も同じだなと思います。保育園も子どもを預ける方が増えてきて、保育の質、こだわりの部分が置いてきぼりになって、どんどん増設されている状態です。それを大人達のニーズだけに合わせて保育の内容を変えていくのは、危機感を感じますね。辻さんの花への姿勢を伺って、改めて、こどもの王国も子どもたちの育ちを優先して保育を考えていきたいなと感じます。

gigi fleuristeのHPはこちら

2019.12.25

クリーニング職人の世界@田中クリーニング|田中さん

こどもの王国保育園の保育士である原田智広(ともくん)が、園周辺の地域に暮らす方々にインタビューを行っていく「こどもの王国 Local Stories」。

今回インタビューに伺ったのは、西池袋2丁目にある田中クリーニングの田中さん。

西池袋園の子ども達が行く上り屋敷公園までのお散歩道にあるこのお店。お店の前を通ると、子どもたちが窓からクリーニングのお仕事を覗き見させて頂くこともしばしば。

子どもたちが覗き込んでいると、いつも優しい笑顔で子どもたちに手を振ってくださる田中さんご夫婦。クリーニング屋さんは昔から親しみのあるお店ではありますが、そこで長年働く田中さん(以下、敬称略)にとって、クリーニング屋とはどんなお仕事なのか、奥さんにその想いを伺いました。


クリーニング屋という仕事

原田:こちらのクリーニング屋さんはいつから始まったのですか?

田中:昭和の26〜7年から、洗濯板でクリーニングが始まりました。

原田:今のクリーニング屋さんて、一般家庭には絶対ない機械があるじゃないですか。だから商売が成り立つのはよくわかるんですが、洗濯板はどの家庭にもあったかと思います。それでクリーニング屋として商売ができるっていうのは何故なんですか?

田中:同じ洗濯板であっても、洗う技術は持ってるプロでしたからね。自分の腕一つで商売をしていますから、職人さんの中でもクリーニング屋さんっていうのはすごいプライドが高いです。クリーニングはその人の腕によって綺麗にアイロンをかけられるか、やっぱり腕なんです。

原田:恥ずかしながらその世界を知りませんでした。クリーニング屋さんて専門的な機械とか洗剤が違うだけなのかなって思ってました。

以前、お豆腐屋さんに、商店街のお店が時代と共に続々となくなってしまったという話を聞きました。その中でもお豆腐屋さんは、仕入れずに自分のお店で商品を作っている点、つまりここにしかないものが売っているということが、お肉屋さんや魚屋さんなど潰れてしまったお店とは違う点だと。そして今回話を聞いて、このクリーニング屋さんも戦前からという長い間続いているところで、この店ならではの技術を売りにしているという点が共通している気がします。


田中:結局はクリーニング屋でも大手でやってるところはほとんど機械ですよね。ですから、職人さんの技術っていうのは活かされないです。うちの主人はとにかく潔癖症なんですよ。

原田:クリーニング屋さんにぴったりですね。笑

田中:シミがあるままお客さんに渡すのがどうしても許せない。自分ではどうにもならないとなると、染抜き専門のところに頼みます。素材によって専門があるんですよ。溶剤とか工程も違うんです。

ですから着物なんかもね、洗えないこともないし、仕上げもできるんですが、染抜きってことになると、下手に溶剤使うとそれがシミになっちゃうんです。今お預かりしている着物もシミだらけでしたけど、綺麗になって戻ってきました。専門の職人さんに頼むと本当に新品になって返って来ますよ。


職人としてのこだわり

原田:クリーニング屋さんも結構奥が深いんですね。

田中:本当に今日明日できるっていう仕事ではないですね。ワイシャツのアイロンかけ方、畳み方にも工程があるんです。工程が違うとシワができちゃうんですね。

原田:細かい仕事なんですね。

田中:朝、会社に行く時に、ワイシャツのボタンが取れてたらそのワイシャツは着れないので、最低ボタンがほつれがないか主人がチェックするので、私がボタンつけたり、ほつれを直したりします。開けてそのワイシャツが着れないとがっかりしますよね。

綻びとかやってない方もいらっしゃいますから。だから最低ご主人様が朝ワイシャツを着てくとかズボンを履いて行くときにボタンがない、ほつれてるってのは直してあげるようにしています、

原田:思いやりですね。

田中:そこまでが最低のサービスだと思ってます。

原田:こっちからすると期待以上のサービスが受けられる気分ですね。綺麗になればいいのにボタンまで。

田中:主人も私もプライドを持ってこの仕事をしています。
人に売ったりするお店なんかはまた違ったものがあるでしょうけど、汚れたものを扱って、綺麗にして返さなきゃいけないってのがありますから神経使います。

原田:嫁入りでこちらにいらっしゃったと伺いましたが、クリーニング屋さんに来るにあたって何か思ったことはありますか?

田中:私が嫁入りする時、主人がクリーニングの店は手伝わなくていいってことだったんです。料理さえ作ってくれればいいってことだったので、私もそう思っていたんです。ところが、仕事が多くてやりきれない時、職人さんがいない日はアイロンが空いてたので、「よし、じゃあやってみるか」って。笑 そしたら父がそんなの覚えたら一生やらなきゃいけないぞ、覚えなくていいんだよって言うんです。私ね、気が強いので、「いえ、絶対やる!男に出来て女に出来ないわけない!」って。笑

すると、父に「仕上げ上手くなったな。でもそれで仕事のあてにされちゃうぞ。」って言われましたが、でもゆくゆくは、おじいちゃんとおばあちゃんがいなくなったら私たちがやらなきゃいけないんだし、早かれ遅かれやらなきゃいけないから仕事覚えられてよかったって。いつまでも父が生きてるわけでもないし。86歳で亡くなりましたが、85歳くらいまでは仕事してました。仕事がなくなったらゴミ出しだとか、掃除とか綺麗好きな人でしたので。頑固なおじいちゃんで仕事に関しては厳しかったですけど、日常は布袋様みたい顔でした。温和な顔でね。

原田:お父様も素敵な職人さんだったのですね。そこまで真剣になれるクリーニングという仕事のやりがいはなんなのでしょう?

田中:もともと、主人の兄がここをつぐ予定だったんです。でもどうも俺は性分に合わないと。俺はサラリーマンになるって公務員になりました。主人はその時にもう大学決まっていたのに、それを断念して「俺が継ぐ。」って。「俺にはこの仕事しかできないから。」って主人は言いますね。

原田:責任感の強い方ですね。

田中:アイロンかけて手を動かさなきゃ仕事にならないわけですから。預かったらお客さんが了解しなきゃお金にならないわけですからね。ぼーっとしてらんないですよね。


田中さんの子どもへの思い

原田:話は変わりますが、僕たちがお散歩している時に、すごく優しく微笑んで手を振ってくださるじゃないですか。子ども達にとても優しいイメージがあるのですが、田中さん自身の子育てで大切にされてたことはありましたか?

田中:自分が忙しくしてまして、子どもを公園に連れて遊びに連れてったって記憶がまるでないんですよ。日曜日におやすみじゃなかったんです。1年中お店空いてましたから。朝7時に開けて、夜9時まで営業していました。

長女が小学校2〜3年の時かな、「お母さん、日曜日によそはどこかに遊びに行くよ。」と。「うちはどうして連れてってくれないの?」って。そこで、「日曜日を休みにしよう。」と、主人と主人の父に言ったら、最初は反対だったんです。お客様に不自由かけるから休まないって言われたんですけど。でも、主人が頑張ってくれて、「子ども達をいろんなところに連れてってあげたいから、1週間に一回休みにしようよ。」って説得してくれました。

原田:結果的に日曜日を休みにして、家族や子ども達に変化はありましたか?

田中:いざ休みにすると、反対してた父も母も日曜日が待ち遠しかったみたいです。色んなところに連れて行きました。「次はどこ行く?」って。笑

原田:娘さんの声を受け止めた素敵な変化ですね。

田中:なので、自分のこどもがいた時は忙しくて、孫が出来て初めて子どもの可愛さに気づきました。だからうちの孫も2歳半で保育園に行ってるので、もうお散歩で会うこども達は同じですよ!自分の孫のようで。もうね、本当に抱っこしたいんですけど、そうすると怪しいおばさんになるので。笑 可愛いですよね。

お散歩で見かけると、「この子達も、ちゃんと育ってほしいな。」って思いながら見てます。だから必然的に笑顔になりますね。可愛い顔してバイバイしてくれると、嬉しくなっちゃいます。

原田:その気持ちは子ども達にも伝わっていると思います。いつもありがとうございます。これからもどうぞよろしくお願い致します!

2019.11.19

一期一会で繋がっていく本@マスク堂増田さん

こどもの王国保育園の保育士である原田智広(ともくん)が、園周辺の地域に暮らす方々にインタビューを行っていく「こどもの王国 Local Stories」。

第二弾の今回インタビューに伺ったのは、こどもの王国保育園隣の古本屋、古書ますく堂。

こどもの王国保育園西池袋園の子ども達がお散歩に行くときは、いつも笑顔で「いってらっしゃい!」と見送って下さいます。本名は増田さんですが、子ども達は「ますくさん」という愛称で親しんでいます。

古本屋を始めた経緯や、本の魅力についてお話を伺いました。

古本屋を始めたワケ

原田:ますく堂はいつから始まったんですか?

増田:2011年の震災の年にオープンしたので、8年目ですね。広島出身で、短大とかは神戸なんですけど。書店員やってたり、スーパーのレジしたり色々ですね。

原田:じゃあ、本は好きだったんですね。古本のお店を開いたのは理由があるんですか?

増田:ずっと本屋で働きたいとは思ってたんですけど、あんまり書店で従業員として働くことが合っていないなと感じたんです。なぜ、今やってるんだって話ですけど。笑 じゃあ古本屋を自分でやるしかないかと思って消去法で。笑

原田:消去法で独立したんですね。笑
ここにある本は、全て読んでるんですか?

増田:本当はもっと読まなきゃいけないんですけど、買うばっかで全然追いつかないですね。買うときは10冊くらいポンと買えるんですけど、読むのは時間かかりますね。絵本も好きですよ。絵本なんか深いですよね。あんな短い話でね。

原田:僕もすぐ読めるみたいなイメージだったんですけど、福音館の研究所で絵本の研究していた方に話を聴く機会があって、福音館は特にこだわってるみたいですね。ワニワニシリーズの絵本があるんですけど、結構短い話なんですが、ワニの取材から含めて3年くらいはかかっているそうです。

増田:丁寧にやる人は本当に時間かけて作りますよね。詩集なんかもそうです。昔は表紙とかも凝ってて。今はこんな豪華な装丁しないだろみたいなね。昔はアンカットっていう自分で切って読む詩集とかも多いんですよね。買った人が自分でペーパーナイフで切らないと読めないんです。

原田:そんな本があったんですね。見たことないです。

原田:古本屋の今の楽しいところ、やりがいはなんですか?

増田:お客さんがこれ探してたんだ!って言ってくれると、置いておいてよかったなって嬉しいですよね。お客さんが探してるものが多岐に渡るじゃないですか。そこで奇跡的に探してたものがあったって言ってもらえるのは嬉しいです。だいたい古本って一冊しかないようなものばかりだから、本当に一期一会的な部分がありますよね。

原田:選んでる本て、お客さんを意識してるものなのか、マスクさんの好みなのかどっちなんですか?

増田:やっぱり自分の好み反映させるとやばいなってのがあるので、なるべくお客さんの買いそうなものを集めてますね。こういう本を探してますってのがあれば探します。

原田:探すのも仕事なんですね。

増田さんが初めて夢中になった本

原田:本を好きになったきっかけはなんだったんですか?

増田:小学校の頃から図書館が好きで、図書館に行くのが好きでしたね。最初に感動した本はおしんです。もう徹夜で読んだような記憶があります。あれ、いまだに探してるんですけど、脚本用の本しか見つからなくて、でも図書館にそんな脚本読んだ覚えがないんですよ。多分小説であると思うんですけど。

原田:それにまだ出会えてないんですね。

増田:絶対どこかにあると思うんですけどね。ドラマも知らなくて、小説で初めて知ったんですよ。

原田:本を好きになる始まりってそうですよね。夢中になれるくらい面白い本と出会うことですね。

増田:あれは夢中で読みましたね。出版社とか全然覚えてないんですけど。
あとは推理小説が好きですね。シャーロックホームズとか、少年探偵団とか読んでました。だからやっぱり図書館大好きですね。

原田:僕も最近になって図書館の偉大さに気づきましたね。それこそ、僕は小学校の時なんて全然本読まなくて、大学の時に少し本を読み始めました。保育の本を読んでたんですけど、その時に学校に絶対図書館がある偉大さに気づきました。笑


増田さんのこどもへの眼差し

原田:ますくさんは、いつも優しく子どもたちと関わってくださいますよね。子ども達も地域の方の中でまず名前を覚えるのはますくさんです。

増田:実は教員免許も持ってるんですよ。もともとは学校の先生になりたくて、教育学部で心理学科でした。だから、子どもは好きなんですけど、私ピアノとか芸術教科すごい苦手なんです。算数とかも得意じゃないし、よく免許取れたなと思います。大変ですよね。全教科、工作とかね。浅く広く、でも深くみたいなね。

原田:教育の仕事は本当そうだと思います。極めようと思ったらどこまでもいけますね。面白い仕事です。

増田:そうですよね。

原田:保育園て、最近できる時に周りに反対する人もいるじゃないですか。騒音とか。マスクさんなんて壁一枚隣に僕らの保育園ができましたが、いつもお散歩に出発する時、帰ってくる時、笑顔で手を振ってくださって本当にありがとうございます。

増田:あれ本当はおかしな話ですよね。言う人の方が信じらんないですよね。自分たちも保育園とか、幼稚園とか出てきたわけでしょ。何がそんなうるさいのかわからないですけどね。ここは車の方がうるさいですよ。どんだけ通るんだよって。夏とか開けてるとテレビの音がかき消されますよ。幼稚園がうるさいとかどんだけ閑静な住宅街なんだみたいな。

原田:そう思うと、本当にこどもの王国保育園は地域の方の理解や助けがあって支えられているなぁと感じます。どうぞ、これからもよろしくお願いします!今日はありがとうございました。


2019.11.11

花育を通して日常に花のある生活を@flowershop315長谷さん

こどもの王国保育園の保育士である原田智広(ともくん)が、園周辺の地域に暮らす方々にインタビューを行っていく「こどもの王国 Local Stories」。

今回インタビューに伺ったのは、西池袋通り沿いに面するflowershop315の長谷幸子さん。

こどもの王国保育園西池袋園では、季節の花を使ったワークショップをして頂いたり、園に飾る花をお店に買いに行かせて頂いたりと、とてもお世話になっています。

こども達とお店に伺うと、子ども達へのあたたかい眼差しと言葉で、保育者も子ども達もリラックスして花と触れ合うことが出来ました。

長谷さんは西池袋園でも行って頂いているように、花を使ったワークショップを行なっています。そこに対する想いを伺いました。

flowershop315が出来るまで

原田智広(以下、原田):それでは、今日はインタビューよろしくお願いします。そもそも、お店の315って数字には何か意味があるのですか?

長谷幸子(以下、長谷):名前がサチコなので。花屋って地域の人には「花屋さん」としか覚えられないだろうなって。だからどんな名前つけても一緒だろうと。笑 だったら「なんで?」って聞かれる方がいいかなと。

原田:確かに。つい聞いてしまいました。笑 長谷さんはずっとお花屋さんとして働いていたのですか?

長谷:海外にいた時期もあるんですが、その中で台湾にいた時は、日本語教師のお手伝いもしていました。今のお店をやる前は押し花の仕事もしてたりとか。でも花関係ですねほとんど。でも、日本語教師もしてたから、教える楽しさみたいなのはそこで感じて、ワークショップに繋がっているところはあるかもしれません。

原田:海外にいた時から花屋にはなろうと思っていたんですか?

長谷:台湾で日本語教師もやってたんですが、花も好きだったので離れたくなくて。台湾の花屋で働かせてくださいって言ってたところが、海外でも日本でも有名なフラワーデザイナーさんだったんですよ!!笑

日本語教師の合間に台北行って、デザイナーさんのアシスタントして。みたいなことずっとやってましたね。

原田:当時は花屋というより、デザイナーの仕事だったんですか?

長谷:デザイナーさんのアシスタントもしながら店舗も見てたんですよ。そこで接客してるのを見て「いいなー」と思って。地元の人とフランクに喋って、自分も日本にいた時は同じことやってたなって。中国語は日常会話程度は喋れるけど、もっと深く心に届くようなことは言えなかったんですよね。

原田:僕も海外にいた時に同じようなことを思いました。

長谷:これは帰って母国語で花屋をやりたいと。それが27〜8歳の時ですね。

原田:海外に行ったことでの気づきなどはありましたか?

長谷:台湾で「あ、やばい!」って思ったのは、例えば、中学卒業して蕎麦屋を修行してる子がいるとするじゃないですか。その子からから考えたら、私30近かったから、もう15年くらいは差が出ててるわけですよ。だったら長くちゃんと経験積もうと思って、思い直して帰って来ました。

やっぱり、コツコツやって来た人が一番の近道だっていうのに気づいたというか。その花との関わり方も、若い頃は、お洒落なデザイナーさんが良くて、花屋はやだとか思ってたんですが、最終的にはコミュニケーションがとりたい花屋がやりたいんだと思って。そこに気づいた時点からは楽しかったですよね。

原田:自分のやりたいことを見つけた瞬間だったのですね。

長谷:日本に帰って来てからは東池袋の花屋で働いてたんですよ。あの地域っておじいちゃんおばあちゃんがいっぱいだったんです。そしたらやりたいこと全部詰まってるじゃないですか。でも、そこがセルフの花屋になってしまったので、それから知り合いのところで押し花の仕事して、お金貯めて花屋の準備しようって。

原田:コミュニケーションがとりたいと言っても、その手段として別の職業も考えられると思うのですが、そこで花屋を選んだ長谷さんにとって、花の魅力とはなんなのでしょうか?

長谷:花自体は好きだと思うんですが、私は花の色とか変化が好きですね。種類として「この花が好き!」っていうのは多分お客さんお方が優ってると思いますよ。

原田:お客さんの方がですか?それは意外な答えです…

長谷:だから、お客さんにも「これは成長してこうなっていきますよ。」とか、そういうことを伝えるのが好きです。この間、「長谷さんは八百屋さんとか肉屋さんみたいですね。」みたいなこと言われました。お花を提供するときに「長く保つためにこれが特!」みたいなことをいうから。自分で納得しちゃいました。笑 

原田:わかりやすい表現ですね。笑

長谷:こうしたらオシャレに見えるよってことはやるけど、なるべく長く楽しめるっていう提供の仕方が好きですね。


原田:花とお客さんを大切にされているんですね。

長谷:私がここで花屋をやってるのも、地域に「○○屋さん」っていうのがあれば直接関われるじゃないですか。私はネットはインスタとフェイスブックしかやっていないんですが、その発信も地域の人が「今は、これをやってるんだ。じゃあ行こうかな。」みたいな感じで来てくれるっていうのが一番理想だなと思って。全国とかじゃなくて、自分の身の丈にあった範囲で。


なぜ、子ども達に花を使ったワークショップをするのか?

原田:もともとワークショップには補助金が出ていたそうですが、どのような仕組みだったのでしょうか?

長谷:もともとは花市場からお話を頂いて、都から補助金をもらって地域の花屋さんが子ども達に教えに行くっていうシステムだったんですよ。

原田:しかし、補助金がなくなってしまった今、ワークショップを続けるのは大変じゃないですか?

長谷:補助金が出ないのはマイナスですが、それをやってる自分がすごい楽しかったんですよ。

それと、花業界が下がってきているっていうのは聞いていたし、実感もしています。でも、それは花に触れ合う機会がないからだと思うんです。花屋さんがなくなり、スーパーでしか買わないじゃないですか。

原田:確かに、今はお花屋さんに馴染みのない人は多いかもしれません。

長谷:でも、やっぱり人とのふれあいの中で買い物をして楽しさが出てくるんだと思うんです。だったら、小さい頃から花に触れてもらって、そのワークショップの体験が楽しいだけじゃなくて、そこで出来た作品をお家に持って帰ったら、次はお父さんとお母さんが花と繋がりますよね。

家の中に花がある生活が1週間や2週間楽しんだ結果どうだったのか、それを味わってもらいたいんです。10人いて、たった1人でも「じゃあ、また花を買ってみよう。」って、私のお店じゃなくても、別のお店で買ってくれれば結果オーライじゃないですか。そこに繋がっていけばいいなと思ってスタートしたのもありますね。

今はボランティア状態なので、花屋としてはマイナスになってるかもしれません。だけど、区が積極的に同様の花育支援をサポートして、ワークショップを受ける側も、そんなに負担にならない金額で楽しければ、お互いに良い関係が築けてずっと続けられるのかなと思います。

そうすると、長い目で見ると花のある生活っていうのが少しずつ増えていくのかなって。小さい子って行ったところをよく覚えているから、花屋の前を通った時に「あ!ここ来た!」とかね。そしたらお母さんも「あ、来たの?」って。そうなると花屋に入る敷居が低くなると思うんです。

ワークショップで大切にしていること

原田:ワークショップで大切にしていることってありますか?

長谷:子ども達が楽しんでて、なおかつ、子どもの作品を持って帰ってきたらお母さんは捨てられないですよね。笑 

うちも息子がいますが、一人っ子だから特に大切になっちゃうわけですよ。そしたらその作品は飾るじゃないですか。そこにメッセージとか子どもが書いた似顔絵とか。5歳くらいだと字が書けたりもするので。そこをミックスさせて一個添えてあげると、またその家庭にとっての価値が上がりますよね。

原田:長谷さんは、子ども達に対しての眼差しが本当に暖かいですよね。園の子ども達と伺う時も、本当に安心してお店で過ごせます。

長谷:なかなか園児さんと関われる機会ってないですよね。だから、お店に子どもが来ても「どうぞどうぞ入って入って!」みたいな。店の中が子どもでいっぱいになっちゃっても私は全然嬉しいです。笑

原田:花育への想いはすごい熱い上で、「絶対お花好きにさせたい!」みたいな押し付け感がないことも、子どもたちと安心してこのお店に関われる理由の1つだなと、今日お話しをして改めて感じました。

長谷:子どもがみんな花屋になりたいわけじゃないですからね。花育と言っても、そのたった一回で何か吸収できるかって言ったらそうではないと思います。

各ご家庭で1輪でも花を飾り、それがいつでも当たり前の環境で、日常化されてこそ1番の花育です。その中で育ってきた子がどのような影響かは、結果は将来はっきりと見えてくると思います。

原田:今日はありがとうございました!これからもどうぞよろしくお願いします!