2019.11.19

一期一会で繋がっていく本@マスク堂増田さん

こどもの王国保育園の保育士である原田智広(ともくん)が、園周辺の地域に暮らす方々にインタビューを行っていく「こどもの王国 Local Stories」。

第二弾の今回インタビューに伺ったのは、こどもの王国保育園隣の古本屋、古書ますく堂。

こどもの王国保育園西池袋園の子ども達がお散歩に行くときは、いつも笑顔で「いってらっしゃい!」と見送って下さいます。本名は増田さんですが、子ども達は「ますくさん」という愛称で親しんでいます。

古本屋を始めた経緯や、本の魅力についてお話を伺いました。

古本屋を始めたワケ

原田:ますく堂はいつから始まったんですか?

増田:2011年の震災の年にオープンしたので、8年目ですね。広島出身で、短大とかは神戸なんですけど。書店員やってたり、スーパーのレジしたり色々ですね。

原田:じゃあ、本は好きだったんですね。古本のお店を開いたのは理由があるんですか?

増田:ずっと本屋で働きたいとは思ってたんですけど、あんまり書店で従業員として働くことが合っていないなと感じたんです。なぜ、今やってるんだって話ですけど。笑 じゃあ古本屋を自分でやるしかないかと思って消去法で。笑

原田:消去法で独立したんですね。笑
ここにある本は、全て読んでるんですか?

増田:本当はもっと読まなきゃいけないんですけど、買うばっかで全然追いつかないですね。買うときは10冊くらいポンと買えるんですけど、読むのは時間かかりますね。絵本も好きですよ。絵本なんか深いですよね。あんな短い話でね。

原田:僕もすぐ読めるみたいなイメージだったんですけど、福音館の研究所で絵本の研究していた方に話を聴く機会があって、福音館は特にこだわってるみたいですね。ワニワニシリーズの絵本があるんですけど、結構短い話なんですが、ワニの取材から含めて3年くらいはかかっているそうです。

増田:丁寧にやる人は本当に時間かけて作りますよね。詩集なんかもそうです。昔は表紙とかも凝ってて。今はこんな豪華な装丁しないだろみたいなね。昔はアンカットっていう自分で切って読む詩集とかも多いんですよね。買った人が自分でペーパーナイフで切らないと読めないんです。

原田:そんな本があったんですね。見たことないです。

原田:古本屋の今の楽しいところ、やりがいはなんですか?

増田:お客さんがこれ探してたんだ!って言ってくれると、置いておいてよかったなって嬉しいですよね。お客さんが探してるものが多岐に渡るじゃないですか。そこで奇跡的に探してたものがあったって言ってもらえるのは嬉しいです。だいたい古本って一冊しかないようなものばかりだから、本当に一期一会的な部分がありますよね。

原田:選んでる本て、お客さんを意識してるものなのか、マスクさんの好みなのかどっちなんですか?

増田:やっぱり自分の好み反映させるとやばいなってのがあるので、なるべくお客さんの買いそうなものを集めてますね。こういう本を探してますってのがあれば探します。

原田:探すのも仕事なんですね。

増田さんが初めて夢中になった本

原田:本を好きになったきっかけはなんだったんですか?

増田:小学校の頃から図書館が好きで、図書館に行くのが好きでしたね。最初に感動した本はおしんです。もう徹夜で読んだような記憶があります。あれ、いまだに探してるんですけど、脚本用の本しか見つからなくて、でも図書館にそんな脚本読んだ覚えがないんですよ。多分小説であると思うんですけど。

原田:それにまだ出会えてないんですね。

増田:絶対どこかにあると思うんですけどね。ドラマも知らなくて、小説で初めて知ったんですよ。

原田:本を好きになる始まりってそうですよね。夢中になれるくらい面白い本と出会うことですね。

増田:あれは夢中で読みましたね。出版社とか全然覚えてないんですけど。
あとは推理小説が好きですね。シャーロックホームズとか、少年探偵団とか読んでました。だからやっぱり図書館大好きですね。

原田:僕も最近になって図書館の偉大さに気づきましたね。それこそ、僕は小学校の時なんて全然本読まなくて、大学の時に少し本を読み始めました。保育の本を読んでたんですけど、その時に学校に絶対図書館がある偉大さに気づきました。笑


増田さんのこどもへの眼差し

原田:ますくさんは、いつも優しく子どもたちと関わってくださいますよね。子ども達も地域の方の中でまず名前を覚えるのはますくさんです。

増田:実は教員免許も持ってるんですよ。もともとは学校の先生になりたくて、教育学部で心理学科でした。だから、子どもは好きなんですけど、私ピアノとか芸術教科すごい苦手なんです。算数とかも得意じゃないし、よく免許取れたなと思います。大変ですよね。全教科、工作とかね。浅く広く、でも深くみたいなね。

原田:教育の仕事は本当そうだと思います。極めようと思ったらどこまでもいけますね。面白い仕事です。

増田:そうですよね。

原田:保育園て、最近できる時に周りに反対する人もいるじゃないですか。騒音とか。マスクさんなんて壁一枚隣に僕らの保育園ができましたが、いつもお散歩に出発する時、帰ってくる時、笑顔で手を振ってくださって本当にありがとうございます。

増田:あれ本当はおかしな話ですよね。言う人の方が信じらんないですよね。自分たちも保育園とか、幼稚園とか出てきたわけでしょ。何がそんなうるさいのかわからないですけどね。ここは車の方がうるさいですよ。どんだけ通るんだよって。夏とか開けてるとテレビの音がかき消されますよ。幼稚園がうるさいとかどんだけ閑静な住宅街なんだみたいな。

原田:そう思うと、本当にこどもの王国保育園は地域の方の理解や助けがあって支えられているなぁと感じます。どうぞ、これからもよろしくお願いします!今日はありがとうございました。